第77話とても不都合な時間に電話がかかってきた

「スミスさん、どうしたんだ?」

ハロルドは、エミリーの手にある銀色の針に気づいていなかった。人生の大半を海外で過ごしてきた彼は、鍼の針が持つ力を知らない。

だから、ジェームズが急に気でも狂ったのだと思った。

エミリーは落ち着いた手つきで針をしまい、唇の端に邪悪な笑みを浮かべた。「ああ、大したことじゃないわ。ちょっとした精神崩壊よ」

ジェームズは痛みに顔をゆがめ、まともな言葉にならなかった。

エミリーは冷ややかに彼を一瞥してからハロルドに向き直る。「ロジャースさん、場所を移してお話を続けません? 新しい企画があるの。きっと興味を持っていただけると思うわ」

本来、ジェームズを狙うつもり...

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